赤:アキレス腱断裂
その名の通り腱自体が断裂した状態です。
アキレス腱付着部の3~6cm上の部分に好発し腫れや内出血を有し、断裂部に陥凹を触れます。
30~50歳のスポーツ愛好家によくみられ、運動中に発生することが多い外傷です。
踏み込みやダッシュ、ジャンプなどの動作でふくらはぎの筋が急激に収縮した時に負荷がかかり発生します。
受傷時にはふくらはぎに「バットでたたかれた感じ」や「ボールが当たった感じ」など衝撃を感じたり、断裂音が聞こえたなどの自覚症状があるのも特徴です。
受傷後つま先立ちができなくなった場合は可能性が高いです。
赤:アキレス腱(周囲)炎
アキレス腱はパラテノンと呼ばれる薄い膜で覆われており、その部分に炎症を起こした状態を言います。
踵から5㎝ほど上の部分でアキレス腱に腫れと疼痛を有します。
オーバーユースが原因でランニングやジャンプをする競技(バレーボールやバスケなど)に多く発生します。
鑑別の指標として、足関節を動かした際に腱が擦れるような音を感じるなら可能性は高いです。
初期では朝起きた時や運動の前後に痛みが強く、運動中など腱周囲があたたまって来ると痛みが弱くなると言う人も多い気がします。
しかし無理をすると慢性化し、再建手術が必要になる場合もあるのでしっかり対策しましょう。
緑:アキレス腱滑液包炎
踵の骨とアキレス腱の付着部には衝撃や摩擦を軽減するクッションの様な役割をする滑液包と言うものがあり、そこに炎症が起こったものを言います。
ハングルト病とも呼ばれるそうです。
アキレス腱の付着部のほんの少し上に腫れと疼痛を有し、後方及び両横からの圧痛を有します。
靴などによる摩擦や圧迫刺激が原因で、靴後面の踵にあたる部分が硬すぎたり合ってない場合に発症します。
パンプスや革靴を履いて移動する人や、ランニング、登山、スキーなどの長時間靴を履いて運動する人によくみられます。
圧迫や摩擦刺激をとってあげることが大切です。
オレンジ:脂肪体の炎症、拘縮、繊維化
アキレス腱の前面にはKager's fat padとよばれる脂肪体があり、アキレス腱の滑走性の維持や滑液包の圧力調整、循環機能及び血管、神経の保護機能があると考えられています。
原因は様々ですがこの部分に拘縮などを起こすと動作時に摩擦や圧迫ストレスが増加して炎症し痛みが出ることがあります。
足関節底背屈の可動域制限に関与するため、足首が硬く、しゃがむと痛んだり、つま先立ちで痛みが出る場合この部分が関係している可能性もあります。
黄:踵骨骨端症
発育期の子供の踵は骨端軟骨(成長線)により踵骨と骨端核に分かれており、この軟骨部分に炎症を起こしたものを言います。セーバー病とも呼ばれます。
8~12歳のスポーツをする男子に多く、踵の腫れや骨端線周囲の圧痛、歩行時痛を有します。稀に踵が着けないなどの症状を訴える場合もあります。
運動により骨端核につくアキレス腱の牽引力で軟骨部に負荷がかかり発生し、オーバーユースが原因となります。
衝撃を和らげてあげるなど方法はありますが、基本は運動量を減らし安静をおすすめします。
青:足底腱膜炎
足底腱膜は足裏の指5本の付け根と踵の下側をつなぐ縦アーチ(土踏まず)を支える重要な腱組織で、そこに炎症が起きたものを言います。
ランナーやダンサーなどによくみられますが肥満などの生活習慣でも発生します。
朝起きた時や長時間座っていた時の最初の一歩に痛みが強く出るなどの訴えも多い気がします。
アーチを構成する筋肉の強化やふくらはぎのストレッチが大切です。
因みに僕の足の中はこんな感じです。
臨床では腱の肥厚や水腫、動きなどをみて考えて行きます。