肉離れって何?
肉離れはスポーツ外傷の一つで「自分の筋力又は、介達外力によって抵抗下に筋が過伸展されて発症する筋損傷」のことを言います。
簡単に言うと、筋肉が収縮しようとするのに対して無理に伸びる力が働いて筋肉を痛めたケガです。
力が大きいと筋の先にある腱や、骨に付着する部分が断裂したり、剥がれることもあります。また断裂部に陥凹を触れる場合もあります。
好発部位は?
筋肉であればどこでも起こり得ますが、急なダッシュやジャンプをした時に発症しやすく、
一般的にはハムストリングス(太ももの裏側)や大腿四頭筋(太ももの前側)、下腿三頭筋(ふくらはぎ)に多いケガです。
肉離れを起こしたらなかなか治らない?
症状によって重症度を3つに分類できるので、まずはイラストのようにストレッチしてみましょう。
どこまでできるかによっておおよその判断が可能です。
また左右差が大きいと再断裂の危険性も高くなるので注意しましょう。
臨床では触診、内出血、超音波(エコー)などで総合的に判断をします。
超音波(エコー)検査では「筋周膜の連続性」と「血腫」によって重症度の評価を行います。
- 軽症:筋周膜の断裂が不明か一部(筋全体の5%以下の断裂)であり、血腫の形成があってもごく少量である。
- 中等症:筋腱移行部や筋腱膜移行部での断裂があり、はっきりした血腫があれば中等症(筋全体の5%以上でいわゆる部分断裂)となる。
- 重症:筋や腱の完全断裂があり(エコーを当てながらの動的な評価が手助けとなる)があり、多量の出血を伴えば重症となる。
と分類されており、治癒(スポーツ復帰)までの期間は軽症で2週間以内、中等症で約6週間、重症では外科的治療を要す場合もあり4ヶ月以上かかると考えられます。
肉離れになったら
初期の処置が大切です。
基本はRICE(ライス)処置が良いと思います。
Rest(安静)Ice(冷却)Compression(圧迫)Elevation(挙上)の略です。
近年ではPOLICE(ポリス)とも言われています。
これは患部を必要以上に安静にするのではなく保護した上で復帰に向けてきちんと使っていった方が良いのではないかという考えから
R(安静)をP(Protection:保護)O・L(Optimal Loading:適切な負荷)に置き換えたものです。
負傷した部分を全く使わない状態が続くと復帰までにかえって時間がかかる場合があるのです。
いずれにしても肉離れを起こしたとき、早く復帰したければ初期にいかに出血と腫れを抑えるかと言う事とても重要になってきます。
復帰はいつから?
痛みが全て消失してからが良いです。
肉離れの疼痛は主に伸張痛(伸ばされた時)、収縮時痛(力を入れた時)、圧痛(押さえた時)とあり、
最初に伸張痛や収縮時痛はなくなり、ある程度動けるようになってきます。
しかし動けるようになったからと言っていきなりスポーツ復帰してしまうと再発する危険性が高いです。
段階を踏んでトレーニングして行くことが大切で、例えばハムストリングスならブリッジやレッグカールなどから始め、
徐々にノルディックハムストリングスのような遠心性の負荷を増やすなど復帰に向けしっかり調整して行きましょう。
圧痛が最後まで残ることが多いですが、それも消失してから全力ダッシュなど大きな負荷、通常通りの練習メニューに戻るようにし、完全復帰という形をお勧めします。
足が攣る
これは筋痙攣と言われています。
脱水や電解質不足が原因の一つですが、筋肉の疲労やストレスなどが原因と言う説もありさまざまな要因が複合して発症するようです。
肉離れとの鑑別が難しい場合があるので注意しましょう。
攣った場合はゆっくりとストレッチを行うと楽になります。
予防にはしっかり疲れをとることが大切ですが、どうしても不安な時は漢方の「芍薬甘草湯」は有効なようです。参考までに。